――一週間の契約

 

3日目 はなし 05――ホワイト

…今日で、ブラックが来て3日目。
3日…経った。

そろそろ…話した方が良いのかな?

昨日は結局…二人でぼんやり時を過ごすだけで終わってしまった。
でも…楽しかったな。
たった一人で…残りの時を送るのは、寂しすぎるもの。

「…オイ」
「何…?」
「…いつまでこうしてる気だ?」
私たちは…さっきからソファに腰掛けて紅茶を飲んでいた。
ブラックは甘いものは苦手みたい…砂糖抜きの紅茶を飲んでる。
最初は…コーヒーを飲みたがってたから、当然…かな。

「…退屈?」
「当然だろ」
「やっぱり」

…あら、また何か驚いたような顔してる…
でも…退屈なのは…可哀想。

「…あなたの…」
「…何だ?」
「今までの、あなたのマスターの…ことを、聞きたいわ…」
そう言うと、ブラックはまた…驚いた顔をした。


3日目 はなし 06――ブラック

…本当に何なのだろうこのガキは…
昨日はただボッとしてる間に終わっちまったし。
俺たち悪魔はいつ召還されるかわかんねぇ生活してたし久々の休暇だと思えば…と昨日は乗り切ったんだが…
オイ…まさか今日もこのまま終わるなんて言わねぇよな…?

…聞いてみたら退屈?と聞かれ
当然と答えたらやっぱり…と返された。

…本当に、コイツは人の話を聞く気があるのか…?
そして今…極めつけが…コレだ。

「今までの、あなたのマスターの…ことを、聞きたいわ…」
…ちょっと待て。
この返答は俺が退屈だと言ったことと関係があるのか…?

「…退屈なんでしょう?」
首を傾げる。
…つまり…

「退屈なら何か話せ…ってことか?」
「…そうは言ってないわ…」

ホワイトの瞳が曇る。

「…まぁ…確かに退屈だけどな…あまり楽しい話はねぇぞ?」
ホワイトはこくりと頷く。

「それでも良いわ…話して」


* * * *


「…ホワイト?」
ホワイトは俺の肩に頭を預けて眠っていた。

静かな寝息。
普段はとても年相応ではない会話をするのに…寝顔は少女そのものだ。

「…ンな所で寝てっと、風邪引くぞ?」
返答は無い。

ホワイトはずっと俺の話を聞いていた。
聞いてて気持ちの良い話など殆ど皆無に等しい筈なんだが…それでも彼女は聞いていた。
とても…純粋無垢な少女の瞳で。

「…しょうがねぇ…行くぞ、お姫サマ」
しかたねぇ…抱えていってやるか…
抱えて、俺は気づいた。

コイツ…何て軽ぃんだ…?

ホワイトをベッドに寝かせる。
何故…コイツは、こんな所にいるのだろう?
こんな所で、たった一人で…


俺はそのまま…廊下で眠りについた。