それは、ある秋の日の話。

「お前、大丈夫なのか?」
「………、…何が…?」
学校からの帰り道、美弥が夢芽に問いかける。
 夢芽は何のことを言われているのかわからないといった様子で緩く首をかしげた。
 夢芽の隣を歩く少女――澪が、夢芽に苦笑して呟く。
「夢芽さん、来週から中間テストですわ」
「ぁー…そういや、もうそんな時期だっけ……」
「てめぇ…」
拳を振り上げ、わなわなと震えだす美弥に、一歩歩調の早くなる夢芽。

「一体何年学生やってんだてめぇはっ!一度ぐらい俺に頼らずテスト終えてみせろ!」
「…兄貴こそ、何年俺の兄貴やって…っ危なっ」
「てめぇ澪の後ろに隠れるなんて卑怯だろうが…っ」
美弥の振り下ろした拳をぎりぎりのところで交わすと、夢芽は澪を盾にして隠れる仕草をした。
「………、澪ちゃん」
「夢芽さん、課題は自分でやらなくては意味がありませんわ」
「……だよ、ね……」
澪が前になると退くのは早い。澪は秩序や決まりを守ることに関しては譲らないと言うことを、夢芽は知っている。
 再び歩調を合わせて、今度は澪を真ん中にして三人で歩き始めた時――
 暁の家の前に佇む姿に、夢芽は立ち止まった。

「………、あれ」
「…どうかいたしましたか?夢芽さん」
「ねぇ…あれ……」
「あ?」
夢芽が言葉を遮って家の前を指差すと、美弥と澪はその指先を追った。
 その姿に、美弥はげぇっと呟き、澪はあら、と口元に手を添える。

「…ちょっと待て、何でアイツがここにいるんだ…?」
眉を顰めると、夢芽に小声で問いかける。
「知らない……何かあった、んでしょ…」
「連絡もせずに来るなんて、何か特殊な事情がおありなのかしら…珍しいですわね」
「とにかく…声、掛けてみないと……兄貴」
夢芽は溜め息を吐いて、ゆっくりと其方に向かって歩き始めた。
「俺は絶対ぇ嫌だからな…あいつがここにいるってことは、何かしらの問題持って来やがったってことだろ…」
「だからって…見ない振りしてここを離れたら……下手に動かれても困るでしょ…」
ひそひそと話しながら近づくと、夢芽は自分の一方後ろを離れようとしない兄に溜め息を吐くと意を決したようにその姿へと歩み寄った。

 耳よりも下で綺麗に切りそろえられた黒髪、
 少々釣っているがぱっちりと開いた二重の眼。
 背は低いが、凛とした顔立ち。両手には、真っ黒のボストンバッグがしっかりと握られている。
 そして何より、新緑を基調としたワンピースの制服は――この住宅街では些か浮いた存在であった。
 夢芽は意を決したように、小さく声を掛ける。

「………、林檎ちゃん…?」
その声に反応するように、少女はばっと振り返った。
「あ…夢芽兄様、美弥兄様!澪姉様もっ!」
「林檎さん…一体、どうなさったの?」
澪が柔らかく問いかけると、林檎は神妙な顔つきで三人に向かい頭を下げた。

「今日から、暫く私をここに置いてくださいっ!」
その声は真剣で、むしろ目の前の少女が生半可な気持ちで頭を下げるなどということはしないということは――三人ともよく知っていた。
 三人は、ただただ言葉を奪われた。


* *


「…どうぞ」
澪が紅茶を淹れ、林檎の前に差し出す。きらきらとした目で澪の方を向くと、
「ありがとうございますっ、澪姉様。いただきます」
と、笑って上品に紅茶を啜った。
 美弥と夢芽は同じように澪の入れたコーヒーに口を付けると、軽く息を吐く。
 ここは、暁家のリビングであった。

「…で、どうしたのか聞かせてもらおうか」
美弥が切り出すと、林檎――暁林檎は、表情を曇らせてティーカップを置いた。

「美弥さん、何もそんな急がなくても…」
「さっきから、家の電話鳴りっぱなしなんだよ」
と、言うと美弥は電話を示す。音を消してしまったようで、ボタンのちかちかとしたした光のみが見えた。
 林檎は眉を下げると切々と語りだす。

「兄様が…」
「…時雨兄が?」
「私を百合丘から退学させ、家で家庭教師をつけると言い出したの」

 暁林檎――彼女は美弥、夢芽の従姉妹にあたる高校一年生の少女であった。
 元より美弥と夢芽の父親は三人兄弟のうちの三男であり、他に長男家、次男家が存在する。
 次男家の息子が晴架とその弟であるが、長男家の娘がこの娘、林檎であった。
 そして長男家、所謂本家の第一子であり、暁家の跡取りとなる息子が――林檎の兄、暁時雨であった。

 林檎の話を要約するとこうだ。
 百合丘女学院は二期制を採用しており、一週間の秋休みに入った。
 全寮制である百合丘だが、この期間は寮に残ることも実家に帰ることも自由とされており林檎は実家に帰っていた。
 その際、兄から急に「林檎を実家に帰し、家庭教師をつけさせる」という方針を考えていることを告げられたのであった。

「私、今の学校を離れるつもりも無いし、このまま百合丘で勉強して立派なキャリアウーマンになってあの家を出るのが夢なのに!…その話をしたら兄様、怒ってしまって」
「…まぁ、怒るわな、時雨兄は」
「もう反省するまでここから出さん!とか言っちゃって、私、部屋に閉じ込められちゃって…」
そこまで言って、言葉が乱れたことに気付いたのかいけない、と一度姿勢を正す。

「母さまは兄さまの言いなりだし、このままじゃ私本当にここから出してもらえないと思って…」
「で、ここに来た…と」
「……よく来れたね…電車代、掛かったでしょ…?」
暁の本家は、ここを電車で二時間ほど行った山中にある。夢芽は小さく息を吐いた。

「学校主催のイベントの運営のアルバイトを夏休みしていましたたから、それのバイト代がありましたの」
「そういえば…百合丘は、学校主催のアルバイトのみ許可されておりましたわね」
「ええ、それも成績に支障が出ない程度、ですわ。それすらも兄様はいい顔しませんでしたけれど。家に帰る日数が減る、と仰って」
つん、と言うと林檎は再び紅茶を啜る。
 澪は林檎と直接血のつながりは無いが元より暁と砂流は親交が深く、澪も何より今の学校に転入する前までは百合丘に通っていたため二人はよく知った関係であった。

「大体、何で急に家に置くなんて極端な思考になったんだ時雨兄は?」
「…いや兄貴……時雨兄なら、やりかねない…よ……」
「まぁ…それはそうだけどよ。林檎が百合丘行くって言ったときも、全く同じようなこと言って林檎を家に閉じ込めてたしな…それにしたって極端じゃねぇかと思うんだけど」
二人は深く溜め息を吐く。
 澪が林檎を窺うように小首をかしげた。

「…林檎さん、何も心当たりは無いのかしら?」
「…実は、一つだけ…」
林檎は言葉を濁すように、控えめに言う。
 美弥も夢芽も手を止めた。

「…実は私、高等部を卒業したらアメリカにある学校に留学したいと考えておりますの」
「アメリカ…」
美弥は思わず目を見開く。
「アメリカといえば…百合丘と親交の深い学校があって、毎年多くの生徒が留学している学校がありますわね」
「ええ、私、通訳になりたくて、本場の英語に触れてしっかりと勉強がしたいと思ったんです。それで、昨日兄にそれを話したら…」
「…何か今、やっと話が見えた…気がする……」
夢芽がぼそりと呟く。美弥もそれに同調するように頷いた。
「ああ、欧米文化…っつーか時雨兄、大の外国嫌いだからな」
「賛成する筈……無いよね……」
夢芽が大きく息を吐く。
 すると、美弥の携帯が高々と鳴った。

「…!」
「本家から…?」
「いや…俺この前機種変えてから番号もメアドも変わってるし、時雨兄には教えてねぇ筈……ン、違う…」
暁家の電話は、小さな液晶画面に誰からの着信か映るようになっている。そこには、『暁晴架』という文字が爛々と光っていた。
 美弥はそれを確認すると、通話ボタンを押した。同時に、その場の全員に晴架の声が聞こえるようにするボタンも押す。

「…もしもし?」
『あ、美弥か?なぁ、そっちに林檎行ってるんじゃねぇ?』
林檎がびくりとして美弥に視線を向ける。美弥は変わらぬ声音で
「連絡…あったのか」
『ああ、俺これからバイトなんだけど何も知らずに出ちまって、したら時雨兄がすげぇ低い声で「林檎がそっちに行ってないか?」なんて言ってくるモンだからよ』
「…なんて答えた?」
と、小さく問いかける。

『別に、「俺今日まだ帰ってねぇから知らない」としか答えてねぇよ』
「そうか…わかった」
『また何かあったら連絡するわ、じゃ、林檎によろしく』
そこで、電話は切れた。

「…この分だと、親族一人一人しらみつぶしに電話かけてそうだな…」
「………あれ、でも俺…時雨兄に番号教えたのに掛かってきてない……」
と呟くと、夢芽は懐から携帯電話を取り出す。

「…あ、やべ…電源、切りっぱなしにしてた……」
「お前、それじゃあ携帯の意味ねぇだろ…」
電源を入れると、夢芽は「げ」と呟く。

「…メール、センターで30通も溜まってるんだけど……」
「うお…時雨兄、メール打てたのか…」
「…兄様ったら…」
林檎は大きく息を吐き頭を抱えた。

「…何て書いてある?」
「いや……全部同じ文面…」
夢芽は一つ一つのメールを既読にして内容を確認すると、

「…『連絡求む』しか……書いてない……」
「…何か、逆に怖ぇな」
と呟くと、再び美弥の携帯が鳴った。着信画面には、『草加奈緒梨』の文字が浮かんでいる。
 草加奈緒梨――晴架の母方の従姉妹で、彼女もまた林檎とは血のつながりは無い。美弥や夢芽と同じ加西光城高等学校に通っている。
 妃緒梨という双子の妹がいるが、彼女はまた別の学校に通っていた。
 林檎と顔を合わせたのは数度だが、同い年ということもあってかたまにメールをやり取りする程度には仲が良かった。
 美弥は画面を見て溜め息を吐くも、通話ボタンを押す。

『もしもしっ、みーたん、あたし奈緒梨だけどー』
「…お前はみーたん呼ぶなと何度言ったら…悪いが今立て込んでるんだ、大した用が無いなら…」
そう言って切ろうとするが、奈緒梨は『あー切らないで!』と声を上げる。
『さっきウチに時雨サマから電話あってさぁ、林檎ちゃん来てないかって言われたんだけどー』
「え…奈緒ちゃんとこまで…?」
夢芽が思わず呟く。林檎も思わず目を見張った。
『あ、その声はめーちゃんだねっ、んでね、あたしは来てないよって答えたんだけど…ちょっと待ってー妃緒梨に代わるから』
「いや、えと…」
夢芽が何か言葉を返そうとするも、声が変わる。
『あの、何か今日…うちの学校に面会に来てて…』
電話口の声が変わる。どうやら奈緒梨の妹、妃緒梨が出たようだ。
『うちの学校の寮、百合丘の寮から近いから…私のところに来てないか、って』
「……、でも…妃緒梨ちゃん、実家通いだよね…?」
『忘れていたみたい…大体、外部の人は寮には入れないはずだって言ったら、そうだよなって言って帰っていったんだけど…』
声が暗くなる。妃緒梨は言葉を次いだ。
『何か、時雨さん…何ていうか、真っ黒なオーラ放ってたから…』
『あとあと、みーたんの番号知らないかって聞かれたの!知らないって答えといたけど、繋がらなかったみたいでー』
奈緒梨も引き続き声を上げる。美弥は大きく溜め息を吐くと、
「わかった…情報、サンキュな。…ひとまず、奈緒梨は俺の番号は絶対言うな。またかかってきても、知らないで通せ」
『りょーかいっ、何か面白いことになってそうだねぇっ!今度お話聞かせてねー』
『あと、さっきから晴架くんと茜くんの家にも電話かけてるんだけど…繋がらないから、そっちからも連絡来たらよろしく。じゃあね』
ぷち、と電話が切れる。

「………、ねぇ…この分だと澪ちゃんにも電話掛かってきてるんじゃない…?」
「あら……まぁ、本当。マナーモードにしてあって気付きませんでしたわ、着信が二十件も…」
「念のため、親にも連絡しといたほうがいいぞ…」
美弥がそう言うと、そうしますわ、と澪は立ち上がり電話をかける。

「畜生、対策練ってる時間ねぇな…時雨兄、ちょっと危なそうだぞ…」
「…奈緒梨ちゃんとこまで…って、正気じゃないって…血ぃ繋がって無いじゃん…」
夢芽が呟くと、今度は夢芽の携帯が震える。

「…あ」
「誰だ…?」
「…、茜…」
呟くと、夢芽も全体に声が聞こえるようにして通話ボタンを押す。

「…もしもし?」
『夢芽兄ちゃんっ?なぁ、たった今時雨兄ちゃんがうち来たんだけどっ』
「げ…」
美弥が思わず呟く。
 茜――暁茜は、晴架の弟で中学三年生だ。声変わりが終わったばかりの中低音の声で、怯えたように喋る。
『一人で来て林檎が来てないかって言ってさ、来てないって言ったら家の中片っ端から調べ始めて…』
「…うわ…」
夢芽が呟くと、林檎も大きく溜め息を吐く。

『今家に俺しかいないんだけど、結局誰もいないのがわかったら出て行っちまって…車だったし、今度はそっちに行くかも…』
「了解………お疲れ」
『ホントだよー!時雨兄ちゃん、めっちゃ怒っててさぁ、俺超怖かったんだぜー!兄貴は電話通じねぇしよぉ!』
半泣きの声が響く。林檎は思わずぽつりと
「…ごめんね、茜」
と呟いた。

『…今の声、林檎?』
「いや、今のは…」
『まぁいいや、とにかくそれだけ伝えとこうと思って!逃げるなら今だと思う、ホント。んじゃな』
そこで、電話は切れた。

「…兄貴…」
「ああ……このままじゃ、十中八九家…来るな……」
「美弥兄様、夢芽兄様…迷惑かけて、ごめんなさい」
林檎が申し訳なさそうに頭を下げる。夢芽は思わず首を振った。
「いや…林檎ちゃん、…ここ、選んで正解だったかもよ…」
「ああ…近いところから当たってるってことは、ここは最後ってことだからな…それも、時間の問題って気もするが」
すると、台所で電話していた澪が携帯電話を片手に戻ってくる。

「やっぱり、うちの方にも林檎ちゃんが来ていないかって電話があったそうです…何かあったのかと聞いてみたけど、何でもないと答えるばかりだったそうで」
「…やっぱり…」
「兄様ったら……澪姉様も、ごめんなさい」
「構わないわ、ただ…本気で心配なさってるみたいだし、このまま家出した状態を続けるのは…良くないのではないかしら」
澪は頬に手を当てて呟く。
「…そうだね、……ただ、ここで林檎ちゃんを家に帰しても…意味が無いとは思う…けど」
夢芽が呟く。林檎は泣きそうな表情で俯いた。

「…私は、兄様に応援してもらいたかったの」
ぽつりと口にする。
「外国嫌いな兄様が、良く思ってくれるはずが無いとはわかっていたけど…それでも、私の目指す夢なら応援してくれると思ったから、真っ先に打ち明けたのに…」
「…林檎ちゃん……」
すると、テーブルに置かれた澪の携帯電話が光った。思わずそれを手にすると、
「学校から…ですわ」
「え……百合丘?」
「いえ、加西の方から…」
美弥の顔が強張った。
「澪、貸せ」
「え、ええ…」
美弥は声が全体に聞こえるようにして、通話ボタンを押す。

『…砂流か?』
聞こえてきたのは、耳慣れた声――保健医の工藤雅の声であった。
 雅は時雨、林檎の母方の従兄弟であり、時雨とは同い年である。
「はい、砂流ですけれども」
『家にいるな、美弥も夢芽もいるか?』
「え…ええ…」
『美弥も夢芽も繋がらなかったからお前に掛けさせてもらった、落ち着いて聞け、もう知ってるかもしれんが今時雨がそっち向かってる』
緊迫した空気が流れる。
「…早っ…さっき茜ん家出たばかりでしょ……」
『急に学校の事務室に現れて、暁美弥と夢芽はいるかってあの形相で着やがったんだよ。危うく通報沙汰だ…俺が出て行って話をしたんだけど、お前らがいないとわかったら速攻で出て行きやがった。たった今だ』
「あの…雅兄様」
林檎が小さく声を上げる。
『ああ、林檎か?久しぶりだな』
「その…父様と母様のことは、何か言ってましたか?」
三人は電話へと注目する。雅はああ、と呟くと
『親父もお袋も話にならんから、俺が一人で林檎を迎えに来た…とか何とか』
「やっぱり…わかりましたわ」
林檎は息を吐く。

『とにかく、俺も今からそっち向かうから。時雨とお前らじゃ話にならねぇだろ』
悔しいが事実であった。相手の話を殆ど聞かない時雨と対等に話が出来るのは、この電話口の相手しかいない。
「お待ちしておりますわ」
そう澪が言うと、電話が切れた。

「…父様も母様も、私がここに来ていることを知っているんだわ」
「じゃあ…何で時雨兄一人で……」
「父様と母様は、今回のことをあまり重く見ていないのでしょう。母様はおっとりしていらっしゃるから兄様の言うことには全て頷いてしまいますし、父様もここにいるなら安心とお考えでしょうし」
頬に手を当てる。

「…一番良いのは、父様に話をしてもらうことなのだけど…お父様は仕事中は電話をとってくださらない方だから」
そう言って、ほうと息を吐いた。ふと、澪が何かを思い出したように顔を上げる。

「…夢芽さん、美弥さん。ちょっとよろしいかしら…?」
「ぁ?…ああ…」
「………?」
澪がそう言うと、三人は立ち上がり林檎をリビングに残したまま、一旦部屋を出た。

 部屋を出ると澪は懐からメモ帳と、制服の胸ポケットからボールペンを取り出しさらさらとメモ帳に数字を記入する。

「…夢芽さんは、暁家の本家と…此方に電話を掛けてください。林檎さんは、うちで預かってます…って」
「…?澪ちゃん、…これ……」
それには電話番号と思しき文字が書かれていた。固定電話の電話番号である。
「林檎さんのお父様の会社の番号ですわ。流石に会社の方でしたら、電話ぐらいは取り次いで下さるか番号を教えてくださるでしょう。渋るようなら砂流の名前を出しても結構ですわ」
「!…澪、お前なんでそんな…」
「林檎さんのお父様の会社は、砂流グループの傘下の中の一つですわ。会社の名前は必然的に覚えさせられていましたし、いざというときのために全社の電話番号を携帯のメモリに入れておくように、お父様から言われてますの」
「…澪ちゃん、かっこよすぎ……、……了解…」
夢芽はぼそぼそと呟くも一度敬礼の仕草をした。
「美弥さんは、ひとまず林檎さんを私の部屋に案内して、そのまま部屋に入っていてくださいな」
「…それは構わねぇが、澪は…もうすぐ時雨が来るってのに」
そう言うと澪はにこりと笑った。
「私一人で、時雨さんをお迎えいたしますわ」
その言葉に、美弥は自分の耳を疑った。

「駄目だ、絶対ぇ認めねぇ、それは危険すぎる」
「…そうだよ、澪ちゃん…時雨さんに女の子一人は危なすぎるって……」
「それでは…夢芽さん、電話を終えたらキッチンに入っていてくださいますか?時雨さんが強硬手段に出たら、出てきてくだされば結構ですので」
澪は微笑むと夢芽に向かって呟く。

「…策があるのか?」
「策…というほどのものでは御座いませんけれども」
澪はふふっ、と微笑むとこう返す。
「大人の男性が、女一人に対して乱暴な振る舞いをなさるとはとても考えられませんの。雅先生が来てくださるまでの間は、リビングでお茶を召し上がっていただく程度の時間は稼げると思いますわ。それと…」


「…林檎、ちょっと避難するぞ。来い」
「え、あ、はい…」
林檎はぱたぱたと荷物をまとめると、カップを片付けようとするのを澪がにこりと笑って制する。
「ここは、私がやっておきますから」
林檎はその声にきょとんとした表情を浮かべるが一度頷くと、美弥について二階へと上がった。

「…ああ、伯父さん…?俺、夢芽です……番号、ああ、緊急でしたので会社の方に聞いて…すみません、実は、……え、来られれますか?えーと……」
夢芽は澪に視線で意見を求める。澪は一度頷いた。

「…じゃあ、お願いします……待ってます、から……」
と呟いて、電話を切る。

「…おじさま、いらっしゃるのですか?」
「ン……何か、…仕事の赴任先…こっちらしいんだよね……帰る前に一度来ようと思ってたらしくて……『またあのバカ息子が』って、毒吐いてたよ…」
「まぁ、それは丁度いいタイミングですこと。…片付けもお茶の支度もできましたし、準備OKですわね」
澪はふふ、と微笑むとかちゃかちゃと下げた食器を洗い始めた。その横で夢芽が食器を拭く。

「…澪ちゃん……随分、林檎ちゃんに肩入れするんだね…」
「私も百合丘に通っていたからわかるんですけれど…林檎ちゃんと同じような境遇の子って、珍しくないんです。それも、こう言うのも何ですけれど、林檎ちゃんはきちんと話し合いをすれば解決する問題でしょう?だから、力になってあげたくて」
「……そう……か…」
「少し、家族間での話し合いが足りてないだけ…夢芽さんも、感じましたでしょう?ああいった家では、珍しくは無いんです。本人に口出しの権利すら与えられないことも」
澪は神妙な表情で返す。

「…何か…」
「…?」
「澪ちゃん、今日…滅茶苦茶かっこいいんだけど……」
「あら嫌だ、そんなことはございませんわ」
照れたように手を口に当て、ふふ、と笑う。
 夢芽も釣られたようにふ、と笑った。

 刹那、二人の表情が強張る。
 外から車の音が聞こえた。

「…車か…早いわけだ」
「タクシーですわね、運転手の方は如何されたのでしょう」
リビングの閉じられたカーテンを僅かに開け、外を確認する。
 タクシーの中からは、背の高い黒髪の男が出てきた。間違いない、暁時雨その人である。
 着の身着のまま飛び出してきたのか、浴衣を着ている。余計威圧感が増して見えた。
「……澪ちゃん、暁の家には専属運転手はいないから…澪ちゃん家と違って。…と、来た…」
扉へ回るのが見えると、ピンポン、とドアホンが鳴った。
 澪は廊下の受話器を手に取ると、声を上げる。

「はい」
「失礼、その声は潤美かな?突然訪ねてきてすまない、時雨だが」
「いいえ、私澪で御座いますわ。ご無沙汰しております」
「ああ、澪さんか…申し訳ない、夢芽と美弥は…もう帰っているか?」
低く響く声が、やたらと迫力がある。
 すると、夢芽は横から受話器をひょい、と取った。

「俺、夢芽…今開けるから」
がちゃ、と置くと夢芽は玄関先まで歩く。
 扉を開けると、そこには時雨が仁王立ちで立っていた。
「………夢芽か」
「時雨兄、久しぶり。……どうしたの…?」
「林檎がいなくなった、来ていないか?」
「林檎ちゃんが…?…時雨兄、何かやったん…」
澪は後ろから夢芽の腕を引き、自分が前に出るとしゃなりとお辞儀をする。
「時雨さん、ご無沙汰しております。お茶をお入れしますわ、どうぞこちらへ」
「ああ、悪いな……邪魔するよ」
流石に澪の前だからだろうか、思ったより落ち着いている。
 夢芽は階段の前に立つと、目の前を澪と時雨が通り過ぎたのを見送った。

 それにしても、澪の立ち回りは見事であった。

「…どうぞ、こちらへ」
「ああ、すまんがあまり長居は…」
「そう仰らず、最近お会いしてませんでしたけれども、お仕事のほうはいかがですか?」
にこにこと笑いながら時雨をソファに座らせ、茶を出し、一人を迎えるのには多すぎるほどの量の菓子を出す。
 湯飲みは三つ用意し、澪と夢芽と時雨と並べた。
「林檎さん、どうなさったんです?家出なんてなさる子ではありませんでしょうに」
澪は穏やかな調子で問いかける。

「家を出ると言い出しおった。…だから、考えを改めるまでと部屋から出さずにいたら、ヘソをまげてな」
「あら…今すぐ出ると仰ったんですか?」
「今すぐではない、高校を卒業した後だ。…女が働きに出るなんて、認められるか。やっぱりあいつを外に出したのが間違いだったのだ」
夢芽は美弥と林檎に時雨が来たことを伝えると、一人再び降りてくる。その言葉が聞こえると、うわ…と、思わず小さく呟いてしまった。

「…大体澪さん、女というのは家事一筋に、慎ましやかに、夫に一生尽くしていくというのが筋というものだ。そう思わないか?」
酒を入れたわけでも無いのに、能弁に語りだす。
「俺は家の両親が理想なのだ、林檎も母上のように、しとやかな女性に育ってくれればそれでいい。それには、異国文化など必要ないのだ」
澪はふふ、と笑うだけで言葉を聞く。
 夢芽はリビングへと続く扉の向こうで頭を抱えた。出て行きたくない…そう切に思った。
 しかしここで自分が出て行かなくては怪しまれてしまう。澪一人に色々任せておくのも厳しいだろう。
「…時雨兄、久しぶりだね」
「夢芽か。…美弥はまだ帰っていないのか?」
「…まあ…」
「そうか。ではこのまま待たせてもらおう」
夢芽は澪の隣に腰掛ける。
「……時雨兄、林檎ちゃん探してるんでしょ。…どこか他所、当たらなくていいの…?」
「思い浮かぶ場所は全て当たった……ここが最後だ。今来てなくとも、待っていれば必ずここへ来るだろう」
何と安直な、と一瞬過ぎる。しかしそれはあながち外れてもいないのである。

「そもそも暁の本家に生まれたのだから、家で学習し家で育つのは当たり前なのだ。俺だって小学生低学年までは家で学業を習った」
「…でもその後、…県内の名門校に通ったんじゃ…」
「それは男であるから許されること。男は女のために、社会に出て働かねばならない。林檎はそれをわかっていない、から家に入れてわからせてやらねばなるまい。年頃になったら、私が外から婿を探して連れてくる」
「あら、暁の家は時雨さんが継ぐのでは御座いませんか。結婚相手が婿でなくてはならないことはございませんでしょう」
「その通り。婿と言ったが、婿でなくても構わない。が、嫁に行くとしても暁の家から出すのだから、それなりに品のある女でなくてはならない」
ぺらぺらと語る。時雨は神妙な顔つきになった。

「他所の家に口出しするのは趣味ではないが…澪さん、君も少し、身の振り方を考えたのでは良いのではないか?」
「あら、それは…どういう意味で御座いましょう」
澪は微笑んで返す。
「いや…美弥や夢芽と違って、君はいずれあの大会社の社長、または婿をとって社長夫人となる立場だ。君こそ百合丘に通い続けるか、親御さんの縁談の話に素直に了承して、家に入って勉強に専念すべきではないのか?私はさっき行ってきたが…あんな学校に通うことは」
「時雨兄、流石に…それは不謹慎。……澪ちゃんは、ご両親の了承があってあの学校に通ってるの……」
夢芽は時雨の言葉を遮って言葉を紡ぐ。澪を見やった。

 澪は、笑っていた。
 穏やか過ぎるほど穏やかな笑顔で、笑っていた。

「夢芽。私はそういうことを言っているのではなくて、本人の身の振り方をだな…大体、あんな学校にいて変な虫でも付いたりしたら――」
「時雨さん」
にこりと笑ったまま、澪は表情一つ変えずに呟く。

「ぶぶ漬など、いかがですか?」
「………」
空気が一瞬凍りつく。
 時雨は一瞬でその意味を察する。夢芽も、一瞬意味がわからなかったが――趣味の読書で得た知識の中に、その言葉があったことを思い出す。

「…澪さん、今、何と…」
「ですから、ぶぶ漬などいかがですか、と申し上げたのですわ」
はっきりとした口調であった。

「…澪さん、仮にもここは暁の家だ。そのようなことは――」
「私、時雨さんは家のことをとても大切に思っていらして、多少融通が利かなくとも妹思いの素敵なお兄様だと思ってましたの」
でも、と言葉を次ぐ。

「まさかそこまで下世話なことを、口になさる方だとは思っていませんでしたわ」
夢芽は、背筋が震える思いがした。
 澪の顔は、笑っている。
 言葉を差し替えてしまえば、普通に穏やかな表情としてまかり通るだろう。

 しかし、その言葉からは確かな怒りが感じられた。

「澪さん、目上の人間への態度を少し――」
「あなたの勤めていらっしゃる会社は、砂流の傘下。忘れたわけでは御座いませんでしょう?」
澪はそう言うと、一層笑みを深めた。

「私がただ世間知らずで、笑っているだけで何もできないとでも?」
「…澪さん」
「あなたが先ほど仰ったとおり、私は次期社長または社長夫人…いいえ、父の後をついで砂流グループを継ごうと考えておりますわ。その時、経営権は全て私の手に握られる――」
そこまで言葉を次ぐと、再び

「…時雨さん。あなたこそ、目上の人間への態度を少し改めなくてはいけないのではなくて?」
「っ…」
く、と奥歯を噛んでいるのがわかる。あからさまに険悪な雰囲気だ。
 夢芽が何とかしようと立ち上がると、突如玄関のドアホンが鳴った。

――ピンポン

「あら、丁度お迎えがいらっしゃったようですわ」
澪は立ち上がると、玄関へと歩いていく。

「…、澪さんはいつの間にあんな風になってしまったんだ…?以前お会いした時は、しとやかないいお嬢さんだったと思うのだが」
時雨がぼそりと呟く。夢芽は横目で時雨を見やると

「…澪ちゃんは今もいいお嬢さん……だよ。家事も炊事もこなすし、…あんなに完璧な女の子、他にいないから……」
「ほう?年上の男相手にたてついておいていいお嬢さん…か」
「…でも澪ちゃん、間違ったことは何一つ…言ってないでしょう……」
「あの態度自体が間違っている。そもそも女というものは――」
そう語りだすと、廊下をどすどすどす、と派手な足音が響いた。

「!…」
「時雨!お前はまたいつもいつもいつも!」
扉をバン、と開けて入ってきたのは、背の高い壮年の男性。
 紛れも無く、暁家の長男家主人――暁惣一の姿であった。
「父上!…私は、林檎を迎えに来ただけです。父の留守を守っているだけのこと、やましいことは何もしていない」
「何を言っておる!女の子一人泣かせておいて何が何もしてないだぁ!?来い、帰るぞ!」
惣一は時雨の腕を掴み、引っ張っていく。
 時雨は惣一に抵抗する気は無いようで、口は動いているもそのまま惣一についていった。

「…『泣かせた』…?」
夢芽はぼそりと呟くと、二人の後を追ってリビングから出る。

「泣かせてなどいない、私は澪さんの振る舞いを正してやろうと――」
「他家の躾に口出しするなとあれほど言っておろうが!林檎も帰るぞ!」
「林檎!?やっぱりここにいるのか、林檎!」
ふと階段を見やると、二階から林檎が降りてきている。
「家に帰ってたっぷり話し合うぞ。林檎、お前、今度何かあったらこのバカじゃなくてまずはお父さんに言いなさい。わかったな!?」
「…わかりましたわ、お父様」
林檎はそう言うと、惣一が時雨を引きずり出すのを見送る。
 すると、玄関でぺこりと一度お辞儀をした。

「夢芽兄様、美弥兄様、澪姉様、本当にご迷惑をおかけしました」
「構わねぇよ…大変だったな」
「…話し合い、頑張って……ね」
「今度は、ちゃんと遊びにいらしてくださいね」
夢芽は澪をちらと見やる。見た感じ、変わった所はなさそうであった。

「澪姉様、兄が失礼なことを申して本当に申し訳御座いませんでした」
「林檎さんが謝ることでは無いわ、大変だと思うけど…頑張ってね」
「はい、私、澪姉様みたいになるのが夢なんです。頑張ります」
林檎は微笑みそう力強く言うと、再びぺこりとお辞儀して「失礼します」と言って去っていった。
 外で、タクシーが去っていく音が聞こえる。
 二人は、一気に脱力した。

 すると、殆ど間を開けずに再びドアホンが鳴る。
 周囲の空気が凍った。
 澪は、恐る恐るドアを開ける。

「…オイお前ら、時雨は…って、来てないのか?」
「あら、雅先生…」
「遅ぇんだよ、お前は!」

 結局雅は何の役にも立たないまま、そのまま帰っていったのであった。



「…澪ちゃん」
「何でしょう?」
澪が夕飯を作っているところを夢芽が後ろから話しかける。
 雅も帰宅し、美弥はレンタルしたDVDを返しに行くと言って家を出て行ていた。

「泣いてた…って、マジ……?」
澪の手が止まる。が、すぐに動き出した。
「嫌だ、聞いてらしたんですか?」
「…その、…伯父さんが、言ってたから……」
頬を掻く。澪はそのまま、手元でさくさくと野菜を切っていた。

「泣いてなど、いませんわ。軽く小芝居を打っただけです」
「…小芝居……」
「私、百合丘にいた頃は演劇部を手伝ったこともありますのよ」
穏やかな口調である。夢芽はそっとその背後に近寄った。

「澪ちゃん」
「………」
「…こっち、向いて…?」
斜め上から、そっと澪の輪郭をなぞると上に向かせた。
 僅かにだが、その瞳は潤んでいた。
「っ…夢芽さん、危ないですわ」
澪は慌てて視線を逸らすと包丁を置く。
「……ごめん」
「もう…少し、お待ちになってください」
材料を鍋に入れて、水を張ると火にかける。

「大体今日は、私も権力を振りかざすという…最もしてはならないことをしてしまいましたわ。それでおあいこです」
「………」
「私のことは、言われ慣れておりますの。ああいった考えの方は、少なくありませんもの。でも…」
食器を一つ、二つと準備する。台所のテーブルに、それを一旦置くと澪は俯いた。


「一つだけ、耐えられなかった…美弥さんや夢芽さんを、…いいえ、加西の方をバカにするような発言をされたことだけは…」
ゆっくりと呟く。
 声が、震えていた。

 夢芽は、そっと澪の頭に手を伸ばして、ぽんぽん、と肩に抱き寄せた。

「…澪ちゃんさ」
「はい…?」
「俺と、兄貴……小さい頃、絶対澪ちゃんのこと…守るって決めてたの。…それは…今も一緒だから」
ゆっくりと、子供をあやすように呟く。
「………」
「ああいう時は、その…無理しなくていい…その場で、泣いちゃったって良かったんだよ………澪ちゃん、女の子なんだから…」
ね、と呟き、よしよしと頭を撫でた。
 澪は涙目のまま、きょとんとした表情で夢芽を見上げている。
 夢芽はええと、と頬を掻く。

「…今日は……澪ちゃんがかっこよすぎちゃって、…俺、ついていけなかったけど……」
ぼそぼそと、目を逸らし気味に呟く。が、そこで言葉を切ると澪を真っ直ぐに見下ろした。
「正直、悔しい。…ごめんね、守ってあげられなくて」
澪は俯き、ふふ、と笑うと

「そのお気持ちだけで、十分ですわ」
と、そっと夢芽の肩に額をこつん、と当てた。

 するとさっと離れ、再び台所の料理へと戻る。

「さて、美弥さんが帰ってくるまでに夕ご飯を作ってしまわないと。時間が無いからとカレーにしてしまいましたけれど…あまりにも寂しいですわね、…もう一品作ろうかしら」
そう言いながら、冷蔵庫を開ける。
 夢芽は、思わずクス、と笑った。

「…夢芽さん?」
「いや……澪ちゃん、やっぱ良いよ……かっこいい」
笑いながらそう呟くと、澪はふふ、と笑った。

「…夢芽さんや美弥さんには、遠く及びませんわ」
「また……そこは、俺一人でよかったところ……」
不服そうな声を出しながら、夢芽は澪の隣に並んだ。

「美弥さん一人のけ者にしては、可哀想でしょう?」
そう言って顔を上げた澪の目に、もう涙は無かった。


 こうして、慌しい一日は幕を閉じたのであった。


 蛇足であるが、時雨はその後母親ともども父親から説教を受けることになる。
 林檎の訴えは認められ、林檎には父の仕事用の携帯電話の番号が教えられたという。







あとがき

暁の家を全員出そうと思ったらやたらカオスなことになりました。
最初は林檎メインだったはずが何故か途中から夢芽澪話に。計画性?なにそれ美味しいn(ry

数ヶ月単位で放置されてたのを掘り起こして途中から書き足したんで色々可笑しいことになってたりします。
突っ込みどころ多数でしょうが適当に流してくださるとありがたく…!

長男家は時雨と林檎が兄妹、雅は時雨と林檎の従兄弟。
次男家は晴架と茜の兄弟、奈緒梨と妃緒梨は晴架と茜の従姉妹。ちなみに奈緒梨は加西生なので美弥夢芽とも面識あります。
んで、三男家は美弥と夢芽の兄弟、澪は美弥と夢芽の従姉妹、って感じです。

時雨さんは何かちょっとアレですが、シスコンでマザコンなだけなんですよー。
価値観コッチコチの人なんで、滅茶苦茶暴走してますが。
時雨と雅の小説も一度書いてみたかったりします。全く対照的なので。

あと上で夢芽澪って書きましたがこの二人はカプにはなりませんよ。
お互い大事な家族って認識なので恋愛感情は生まれません。
というか幼少時代は澪→←美弥だったし、夢芽はそもそも澪にその手の感情を抱いたことが無いかと。
だから澪に対して色々やってますがあくまで「家族」の範疇です。

しかし家族とはいえ溺愛してるので、澪が泣いて帰ってきた日にゃ平気で「…そいつ殴ってくる」とか言いそうだ。

そんな感じで。ここまで読んでくださって有難う御座いました。
改めて見直すと滅茶苦茶長いな…これ…orz
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