「…ぁ…」
「…ぁンだよ」
「いや、そこ…ちょっと、…勘弁」
「は?…此処通ンねぇと次の段階進めねぇだろーが」
「…だって、ホラ、…俺、未だよくわかってないし」

 夜の部屋に響き渡る、声。
 少しずつ、荒ぐ声。

「…だから、無理だって」
「俺に出来てお前に出来ない訳ねぇだろ、…ホラ、とっとと進むぞ」
「いや、だからもーちょっと詳しく教えてよ…」
「誰相手に口利いてると思ってンだよ、ぁあ?」
「兄貴だけど、…ぐっ」
塞がれた口から、僅かな声が漏れる。

「…だから、此処さえ解ければ後は全部出来るんだっつの…」
「それがわかったら俺はこんなに苦労しないの…っ」
逃れても、逃れられない壁が――2人の前に、立ちはだかって。





































「………だから、この問題が出来て何でこっちの問題がわかんねぇんだ。夢芽」
美弥が、夢芽の口を塞いでいた手を離す。夢芽は思わず前につんのめった。
「ふぁっ……いや、…この公式、どーやって当てはめていいのかわかんなくてさ…」
「何度説明させる気だよ、ったく…この数値がこっちに来るから、こっちがこっちに来るわけで…」
美弥がシャーペンを出して説明する。
「ぁー…もう、良いから今日は寝かせてよ…」
諦めきった表情をした夢芽は、シャーペンを投げ出した。
「駄目、だ。コレ終わるまで寝かせねぇぞ。…一瞬でも寝てみろ、殴って二度と教えてやらねぇからな」
「……………もう、…俺、兄貴には絶対ぇ教わんない…」
「何か言ったか?」
「……いーえ、何にも……」


えーと、うん(何だよ)
若かりし日の過ちですヨ!(待てコラ)

………ごめんなさい(ホントにな)
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