今日もまた、いつも通りの日常が過ぎる。
 どう考えても、前と殆ど変わらない。けれど、何処か前とはずれている…日常が。

 美弥は、帰路の途中…考えていた。

「………俺は、待ってても良いのか…?」

 ボソリと、誰にとも無く呟いてみる。
 勿論、返答は無い。返答出来るとすれば――それは先ほど別れた、彼の相方ぐらいのものであろう。

 相方、と言うよりは…片想いの相手、と言った方が確かかもしれないが。

 最初は、ただ変な奴だと思っただけだった。
 何故、誰もいないところで転ぶことが出来る?
 何故、そんなに道理の通らないことばかりやる?

 何故、自分に向かってそんな笑顔を投げかけてくる?

 色々と思ったことをそのまま言っているうちに、何故か「相方」になっていた。
 気付いたら、大分近い位置にいた。
 気付いたら、全てを知りたくなっていた。

 気付いたら、相方に恋してしまっていた――

 意を決して……した、告白。
 ちゃんとした結果は…まだ、聞いていなかった。

 ただ、ひょっとしたら僅かな希望が持てるのかもしれない…そんな、返事を相手から聞いて。
 それから……再び、いつも通りの日常が幕を開けた。

 やはり、少々“いつも”とはずれた“いつも”ではあるけれども。
 相手の反応は、殆どまったくと言って良いほど変わっていない。
 ただ、自分が上手く返せていないだけであって。

「…わかんねェんだよ…ったく」

 と、再び呟く。
 もう、あれから1ヶ月が経つであろうか。
 返答は、まだ、無い。

 聞いてみようか。
 追求してみようか。

 けれども、聞いてしまったところで……自分が、他の女子に傾くなんて、全く考えられなかった。

 好きな人が出来たら、そっちに行って良いんだからね?
 そう、言った相手の言葉。
 思わず抱き寄せて言ってしまった、言葉。

 お前以外を、彼女にする気は無い――と。


 だから、待ち続けるしかない。
 待ち続けることしか…彼には、出来ない。


 そして、また…“いつも”とは違った、“いつも”が始まる――




美弥の告白後一ヶ月ぐらいの話。
結局三ヶ月ぐらい待ってたんで(爆)
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