『――俺、当分誰も好きにならねぇって決めてるんだわ』


 そう、其れは。
 ほんの数時間前の、自分の台詞。



 その言葉に、嘘偽りは一つとして無い筈だった。




 だというのに、何故。
 あの、泣きそうな笑顔が離れない。

 胸を締め付けるのは、何でなんだよ。




 正直、告白されんのは初めてじゃない。

 仲の良いダチだと思っていた奴に告白されたのも――ぶっちゃけ、初めてじゃない。


 ただ、その時々とは勝手が違う。




『良い奴、見つけろよ?』


 本心だ。

 あいつには、俺じゃなくて。


 もっと、大切にしてくれる誰かじゃないと駄目なんだ。




「――…って、あれ、…違くねぇ?」




 いつの間にか、自分の考えていたことが。

 自分の中で固めていた信念を、少しずつ崩していたことを感じた。




 外は、夜明けを迎えて少しずつ明るくなっていた。




「………、嘘だろ」


 正直、自分の気持ちを『察する』のは、得意なほうだ。


 そっと、己の口を手で塞ぐ。



「…マジ、……無ぇだろ、其れは」



 脳裏にちらつく、光る髪。エメラルドグリーンの瞳。生意気な表情。澄んだ声。





「………やっべぇ…」







 自覚した想いが、徐々に湧き上がってくるのを感じていた。





あとがき
これ、結構リアルに直後に書いたお話です。
ええ、あえて多くは語りませんとも()
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