「マリーちゃん、本当に…何があったの?」
「おじいちゃん…病気で、死んじゃって…そしたら、男の人がいっぱい来たの…」
マリーと呼ばれた少女は淡々と語る。

「それで、家もお花も…全部取られちゃった…」
「…そう…だったの」

 ティファはマリーの手を取った。
「マリーちゃん、お腹すいたでしょう?何か、食べに行こう?」
「…うん…」

 すると、マリーはグルーの服のすそを掴んだ。
 しばらくジッとグルーを眺めて

「…誰?」
「あ、マリーちゃん。このお兄さんはグルー・ブレイアンドさん」
「そう…」
しかし、服のすそを離そうとしない。

「…グルーさんも、一緒にどうですか?」
ティファは笑顔でそう誘った。




 グルーは特に食べるものも無く、コーヒーをすすっている。
 目の前のマリーはただひたすらにサラダを口にしていた。

「変わった奴…肉食べないなんて」
「この子、菜食家なんですよ。動物と仲良いから、肉を食べるのには抵抗があるみたいで…」
「こんにちは」
すると、聞き覚えのある…普段は極力聞きたくない声がした。

「…クレイア」
「こんにちは…ここに入っていくのをみたから、来てみたのよ。…その子は?」
「あ、マリーちゃん…マリー・ミラクルちゃんです。知り合いの子で…」
マリーはじっとクレイアを見つめている。
 ふと、クレイアは何かに気づいた様子で――…

「…そう、よろしくね」
と言った。

 その表情は、今まで皆に見せた事も無い…クレイアの優しげな表情だった――

「…」
「さて…私はそろそろ行かないと」
「あ、さようなら」
「失礼するわね」
そして、クレイアは消えた。


(あの子…)
 クレイアは、マリーの正体を見破っていた。




「…じゃあ、マリーちゃんはしばらく私の家に預かる事にします」
「そうか」
「じゃあ…私、仕事に戻らなきゃ。グルーさん、ちょっとの間…ここで預かってくれませんか?」
丘の上の公園で。
 ふとティファはそんなことを言い出した。

「…ああ、わかった」
ここまで付き合った以上、これぐらいは覚悟していた。
「ありがとうございますっ。じゃあ、なるべく早く終わらせますので!」
ティファは駆けていった。




 すると、マリーはこう呟いた。

「…グルー」
「何だ」
「…グルー、同じもの…持ってる」

「…何だって…?」
「同じもの、感じるの…」

 マリーの中から光が出てくる。
 その時、グルーの目に…信じられないものが映った。


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