銀の風見鶏 第四話 小さな恋の行方やいかに?

 暑かった夏のことをついつい忘れてしまいそうな季節…10月。
 読書やらスポーツやら言われる秋の季節である。

「…じゃ、俺はちょっとバイトに行ってくるよ」
「俺も行ってくる」
「はぁー、2人ともこんなに天気が良いのにバイトか?ったく、よく働くねぇ」
「お前だって、そろそろ働かなくちゃやばいんじゃないのか?」
シルドにファレイが言う。
「…うっ…」
「何だ…またバイトクビになったのか?」
グルーが悟ったように言った。
 どうやら図星らしい。

「しょうがねーだろっ、あそこは俺に合ってなかったんだから!」
「そのセリフ、もう何度目だろうな…」
「うるせぇっ!」
「まあまあ…グルーも行こう。雑貨屋のバイト、行くんだろ?」
「ああ…」
とりあえず行く事にした。


 この街に来て、そろそろ半年が経つ。
 もうこの街にも慣れ、とりあえず平和な生活を送っていた。

 あの、半年前の生活が…嘘だったかのように。


「…あれ、カレイド」
「あ、こんにちは。ファレイさん、グルーさん」
カレイドは2人に挨拶をした。
「ああ」
「こんにちはぁー」
カレイドの隣にいた少女も挨拶をした。
 いかにも育ちの良さそうで、独特のペースを保っていそうな少女だった。

「ホープ、こんにちは…あ、グルーは知らなかったよね。この子ホープ・ルルーウェイブっていって、カレイドと一緒の学校なんだ」
「そうか」
「ホープですぅ…よろしくおねがいしますぅぅ」
「あ、ああ…グルー・ブレイアンドだ」
ゆっくりと手を差し伸べてきた。
 戸惑いつつ、グルーはその手を握る。

「どこか行くの?」
「あ、はい。ちょっと文房具を買いに…」
「じゃあ、途中まで一緒に行こう。良いよな、グルー」
「ああ」
そして、4人揃って歩く。

 ホープの話し方は独特で。
 何だかそちらのペースに巻き込まれそうになる。
 しかし、何だかそのペースがカレイドには何だか合っているようで。

「…じゃあ、僕達はこの辺で」
「さようならぁ」
「ああ、またな」
そして、別れる。

「あの2人、結構仲良いんだ。ああやって文房具買いに行ったり、図書館に行ったりしてる」
「…そうか…」
「じゃ、俺はこっちだから。じゃあな」
「…ああ」

 そして、雑貨屋に向かった。

「グルーさぁんっ、これ…どこに持って行けば良いんだっけ?」
「そっちの棚だ、いい加減覚えろ」
「だって、ここ案外広いんだもーんっ」
リリーメとのいつも通り…の会話。
 もっとも、グルーにはいつも通りでは困るのだが。
 いい加減、もっと仕事を覚えて欲しいものである。

 すると、雑貨屋のベルが鳴った。

「いらっしゃいませー!」
こういう掛け声はいつもリリーメである。
 わずかにミリーの声も混ざっていたりするが。

「あ、ティファちゃんっ!」
「ん…?」
「こんにちはっ!…あっ、グルーさんもここで働いてたんですね」
嬉しそうな顔つきになる。
「ああ、まあな…」
すると、くすっと笑いだす。

「…何だ?」
「え?あはっ…エプロン、似合ってますよっ」
「なっ…!?」
「普段見かけない姿だったんで、ちょっと新鮮です。…あ、コレくださいな」
とりあえずコップを差し出す。

「…あ、ああ…20Kだ」
「はいっ」
料金を手渡す。

「それじゃあ、失礼しますねっ」
「あ、ありがとうございましたーっ」
リリーメが声を上げた。

「グルーさんって、他の事は全部出来るのに接客だけは駄目なんだよね〜…ダメだよ、グルーさんっ。もっと接客うまくならないと」
「うるせぇな…他の事出来ないお前に言われたかねぇよ」
「え…あああああああああーっ!!もしかして、エプロン似合ってるって言われたの、照れてる!?」
「だからうるさい…早く仕事に戻れ」
「やだっ、グルーさん可愛い〜vvv」
リリーメは明らかに面白がっている。
 いつの間にか横にミリーがいたりして。
「そういえば…いつもティファちゃんが来るの、午前中とかだもんね。グルーさんはいつも午後から来るから…」
と呟いていたりする。

「…早く仕事に戻れ、店長がいないからってサボるな」
「あーっ、グルーさんだって手止めてたくせにぃっ!」
そして、とりあえず仕事に戻ったのだった。

「…ね、ミリー…グルーさんって、やっぱティファちゃんのこと好きなのかなぁ?」
「え?さ、さぁ…」
「でもさ…ティファちゃんって人気あるじゃん?ま、グルーさんもカッコイイからお似合いだけどね〜」
ひそひそ話をする。が、話の内容はともかく声だけはしっかりグルーの耳に届いていたようで。

「お前ら、仕事しろ!俺の給料にも響くんだからな…」
「はーいっ」
「ご、ごめんなさい…」
そして、3人はようやく仕事に戻ったのだった。


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